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世界最大級の家電・IT見本市「CES」が5~7日、米西部ネバダ州ラスベガスで開かれ、日本からも多数のベンチャー企業が出展した。ロボットから航空機、ソフトウエアまで幅広い製品をアピールし、起業が盛んな米国市場へと打って出る構えだ。欧米メディアに報道されて注目を集めているが、資金集めなどの課題も見え隠れする。
日本から50社、行列も
フランスや台湾など各国の新興企業が出展する会場で、来場者が絶えないのが日本の一角だ。垂直離着陸航空機を開発するスカイドライブ(東京)が展示したデモ機に試乗しようと、連日、行列ができている。
日本貿易振興機構(JETRO)が共同出展会場を確保し、日本から約50社が参加。スカイドライブのデモ機は会場の目玉で、英国や米国など各国のテレビ局が取材に訪れたという。
同社は2020年に試験飛行を成功させ、25年にも商用化を目指す。事業展開を視野に入れる米国市場で「認知度を上げたい」(同社の安河内佳祐さん)というのが出展した狙いだ。
新型コロナウイルス再流行を受け、今年のCESでは、米グーグルなどの大手が対人イベントの参加を控えた。一方、ベンチャー企業向けの会場への参加企業は年々、増加しているといい、来場者も多い。
「米国で資金調達を」
「ベンチャー王国」の米国では、新興企業の競争が激しい。それでも、アーキテック(大阪)の高田周一社長は、「勝てると思っている」と力を込める。同社はAIと半導体の開発を手掛けており、応用範囲の広さと、価格競争力に自信があるという。
ベンチャー投資が浸透した米国では、有力技術の開発に成功すれば投資家から巨額の資金が入る。アーキテックは日本で一定の資金調達を達成したが、各段に大きな資金が動く「米国での資金調達を目指していきたい」と高田氏は話す。
韓国、中国が存在感
一方、JETROによると、昨年のCESに参加したベンチャー企業の数を国別に比較すると、トップの米国を除けば、韓国が大きな存在感を示しており、そこに中国が続く構図だったという。
かつて日本の総合電機メーカーは、海外市場を重視した戦略をとったサムスン電子などの韓国メーカーに出遅れた時期があった。日本のベンチャー企業も、事業化の早い段階から、海外に目を向ける必要がありそうだ。
筆者:塩原永久(産経新聞)